2026年9月24日更新
Nintendo Switch 2 / CFW / Homebrew
Nintendo Switch 2が発売されてから、気になっている人も多いのが「Switch 2でもCFW(カスタムファームウェア)を導入できるのか?」という問題です。
初代Nintendo Switchでは、AtmosphèreやHekateを利用することで、Homebrewの実行やemuMMCによる環境の分離など、さまざまなカスタマイズが可能になりました。
では、Switch 2でも同じようなことができるのでしょうか?
2026年に入り、Switch 2のハッキング研究には新しい進展が報告されています。特に7月と9月には、CFWの開発につながる可能性のある興味深い研究成果が公開されました。
この記事では、2026年9月24日時点の公開情報をもとに、Switch 2のCFW開発状況、最新のexploit、AtmosphèreやHekateの対応状況、今後の課題について詳しく解説します。
まず、最も気になる結論から紹介します。
2026年9月24日時点で、一般ユーザーが導入できるSwitch 2向けCFWは公開されていません。
初代Switchで利用されているAtmosphèreやHekateについても、Switch 2に対応した一般向けの正式リリースは確認できていません。
現在の状況をまとめると、次のようになります。
| 項目 | 現在の状況 |
|---|---|
| ユーザーランドでのコード実行 | 実行実験の報告あり |
| ゲームの実行メモリ解析 | 2026年9月に新たな進展 |
| カーネル権限の取得 | 一般公開された実用的な手法は未確認 |
| Atmosphère | Switch 2対応版は未公開 |
| Hekate | Switch 2対応版は未公開 |
| emuMMC | Switch 2向けの一般利用環境は未公開 |
| Homebrew | 一般ユーザー向けの導入環境は未確立 |
| 改造チップ | 一般向けの動作確認済みCFW用製品は未確認 |
つまり、Switch 2のハッキング研究は進んでいるものの、初代SwitchのようにCFWを導入して自由にカスタマイズできる段階ではありません。
ただし、今後の開発につながる可能性のある研究成果はいくつか報告されています。
その中でも特に注目したいのが、2026年7月に報告されたユーザーランドexploitと、9月に報告されたゲーム実行メモリの取得です。
2026年7月8日、開発者のGezine氏が、初代SwitchとSwitch 2の両方で動作する新しいユーザーランドexploitを作成したと発表しました。
exploitとは、ソフトウェアなどの脆弱性を利用し、本来想定されていない処理を実行するための技術です。
今回報告された手法は、従来のセーブデータを利用したものとは異なり、改変したセーブデータをオンライン経由で転送する必要がないとされています。
これまでSwitch 2では、特定のゲームのセーブデータを利用したユーザーランドexploitが研究されてきました。
しかし、Switch 2ではセーブデータの取り扱いに制約があり、改変したセーブデータを本体へ転送する際にオンラインサービスを利用する必要がある場合があります。
そのため、オンラインサービスの利用条件や、本体のファームウェア更新との兼ね合いが問題となっていました。
今回Gezine氏が報告した手法は、セーブデータやWebKitを利用しない方式で、オフラインでも利用できると説明されています。
さらに、複数のファームウェア環境で利用できる可能性がある点も注目されています。
残念ながら、今回の発見だけでSwitch 2のCFWが起動できるわけではありません。
ユーザーランドとは、ゲームなどのアプリケーションが動作する、権限が制限された領域のことです。
ユーザーランドで任意のコードを実行できたとしても、それだけでOSの中核部分であるカーネルを自由に変更できるようにはなりません。
CFWを実現するには、さらに高度な権限の取得や、本体の起動処理に関する研究が必要となります。
ただし、ユーザーランドでのコード実行は、ゲーム内部の動作を解析したり、新たな脆弱性を調査したりするための重要な足掛かりになります。
今後の研究につながる可能性のある進展といえるでしょう。
2026年9月16日、Gezine氏によってSwitch 2上で動作しているゲームの実行ファイルをメモリから取得することに成功したとの報告がありました。
今回の報告で特に興味深いのは、データの取得方法です。
通常、ゲーム機の内部メモリを解析するには、デバッグ機能やメモリにアクセスできる特別な権限などが必要になります。
しかし、今回の研究では、HDMI映像出力とキャプチャーボードを利用する方法が採用されました。
報告された方法では、ゲームの実行メモリの内容を画像のパターンに変換し、Switch 2のHDMI映像出力を経由してPCへ転送します。
大まかな流れは次のとおりです。
Nintendo Switch 2
ゲームの実行メモリを読み取る
メモリの内容を画像データに変換
HDMI映像出力
画像の各フレームにデータを載せる
キャプチャーボードで映像を取得
PC側でデータを復元
画像からバイナリデータを取り出す
取得には1時間以上かかったと報告されていますが、ゲームの実行ファイルを取り出すことができたとのことです。
通常の映像出力をデータ転送の経路として利用している点が、非常に興味深い研究です。
Gezine氏は、取得したデータをSwitch 2のPAC(Pointer Authentication Code)というセキュリティ機構の解析に利用すると説明しています。
PACは、プログラム内で使用されるポインタの不正な変更を検出するための仕組みです。
例えば、プログラムの処理を本来とは異なる場所へ移動させようとした際に、その改ざんを検出する目的で利用されます。
ゲームの実行ファイルを詳しく解析することで、Switch 2がPACをどのように利用しているのかを調査するための材料が得られます。
ただし、今回成功したのは、あくまでメモリ上に展開されたゲームの実行ファイルの取得です。
ゲームカード全体の復号や、Switch 2のゲームをPCで自由に実行できるようになったという意味ではありません。
また、この方法を一般ユーザーが利用できるツールとして公開したという報告でもありません。
Switch 2対応版は未公開
Atmosphère公式GitHub
初代SwitchでCFWを利用している人にとって、特に気になるのがAtmosphèreの対応状況でしょう。
Atmosphèreは、初代Switch向けに開発されている代表的なカスタムファームウェアです。
2026年9月24日時点では、Switch 2で利用できる一般向けの正式リリースは確認できていません。
GitHubではSwitch 2への対応を求めるIssueも投稿されていますが、それがクローズされたことは、Switch 2への対応が完了したことを意味しません。
初代SwitchとSwitch 2では、ハードウェア構成やセキュリティ機構などに違いがあります。
そのため、初代Switch向けに開発されたAtmosphèreをそのままSwitch 2へ導入することはできません。
また、初代SwitchとSwitch 2で同じファームウェア番号が使用されていたとしても、CFWの互換性があるという意味ではありません。
Switch 2に対応した専用の実装が必要になります。
Switch 2対応版は未公開
Hekate公式リリース
Hekateは、初代SwitchでCFWの起動やNANDバックアップ、emuMMCの作成などに使用されているブートローダーです。
2026年9月24日時点で、Switch 2に対応した一般向けのHekateは公開されていません。
そのため、初代Switchと同じように、HekateからCFWを起動したり、emuMMCを作成したりすることはできません。
emuMMCとは、本体のシステム環境を別のストレージ領域に複製して利用する仕組みです。
初代Switchでは、主にmicroSDカード上に作成したemuMMCを使用し、本体内部のシステム領域とは別の環境でCFWを動作させることができます。
Switch 2でも同様の機能を実現するには、ストレージ構成や起動処理への対応などが必要になります。
現時点では、一般ユーザーがSwitch 2でemuMMCを作成・起動できる実用的な環境は公開されていません。
初代Switchでは、未対策機におけるRCMを利用した方法のほか、改造チップを使用したCFWの起動方法も存在します。
例えば、Picoflyなどの改造チップを利用することで、ソフトウェアだけではCFWの導入が難しい初代Switchの一部モデルでも、CFWを動作させることが可能になっています。
では、Switch 2向けの改造チップは登場しているのでしょうか?
2026年9月24日時点では、一般ユーザーが購入して利用できる、動作確認済みのSwitch 2向けCFW用改造チップは確認できていません。
また、仮にハードウェア側の保護を突破できるチップが開発されたとしても、そこから起動するCFWや必要なソフトウェアが用意されていなければ、初代Switchと同じような改造環境は実現しません。
「Switch 2対応の改造チップ」などと宣伝されている製品を見かけた場合は、実機での動作検証や、具体的に何ができる製品なのかを慎重に確認する必要があります。
初代Switch向けのフラッシュカートとして知られるMIG Flashについても、Switch 2との互換性が話題になっています。
2025年6月には、開発元からSwitch 2で初代Switchのゲームを動作させるための対応が発表されました。
ただし、MIG FlashはCFWとは異なるものです。
MIG Flashを利用したからといって、Switch 2向けのAtmosphèreが起動できたり、Switch 2専用ソフトのバックアップ起動やHomebrewの実行が可能になったりするわけではありません。
また、MIG Flashを利用したSwitch 2が、任天堂のオンラインサービスから制限されたという報告もあります。
自分が所有しているゲームをバックアップして使用する場合でも、オンラインサービスの利用制限を受けないという保証はありません。
MIG Flashの対応状況と、Switch 2のCFW開発状況は、別の話として考える必要があります。
Switch 2のCFWを将来的に利用したいと考えている場合、現在のファームウェアを更新するべきかどうかも気になるところです。
2026年9月24日時点で、任天堂が公開しているSwitch 2の最新システムバージョンは23.0.0です。
一般的に、ゲーム機のファームウェアが更新されると、それまで利用できていた脆弱性が修正されることがあります。
そのため、将来的なハッキング研究に備えて、古いファームウェアの本体を維持するという考え方もあります。
ただし、古いファームウェアを保持していれば必ずCFWを導入できるようになる、という保証はありません。
今回Gezine氏が報告したユーザーランドexploitについても、複数のファームウェアで利用できる可能性が示されていますが、今後登場する別のexploitやCFWまで同様に動作するとは限りません。
一方、通常のゲームプレイやオンライン利用を目的とする場合、公式アップデートにはセキュリティ修正や機能追加が含まれています。
ファームウェアの更新を避けると、オンラインサービスや一部のゲーム、周辺機器などが利用できなくなる場合もあります。
将来的な研究用として保管する本体なのか、普段のゲームプレイに利用する本体なのかによって、ファームウェア更新の扱いは変わってくるでしょう。
現時点で報告されているユーザーランドexploitや実行メモリの取得は、CFW開発につながる可能性のある研究成果です。
しかし、一般ユーザーが利用できるCFWを実現するには、まだいくつかの課題があります。
ユーザーランドでのコード実行
制限されたアプリケーション領域での実行実験が報告されています。
ゲームの実行メモリの解析
HDMI映像出力を利用した実行ファイルの取得が報告され、セキュリティ機構の解析に向けた研究が進んでいます。
カーネル権限の取得
OSの中核部分にアクセスするための、実用的な権限昇格手法などが必要になります。
起動処理やセキュリティ機構への対応
本体の署名検証や起動チェーンなどの保護を考慮した、CFWの起動方法を確立する必要があります。
Switch 2向けCFW・Homebrew環境の実装
Switch 2のハードウェアやシステムに対応したCFW本体、ブートローダー、Homebrewの実行環境などの開発が必要です。
これらはCFW開発に関係する技術的な課題を整理したものであり、必ずこの順番で解決されるという意味ではありません。
また、カーネル権限を取得する方法が発見されたとしても、それだけでCFWが完成するとは限りません。
今後は、より高度な権限でのコード実行や、システムの起動処理に関する具体的な研究成果が公開されるかどうかが注目されます。
今後の開発状況を追うために、定期的に確認しておきたいサイトを紹介します。
GBAtemp
海外のゲーム機ハッキングコミュニティです。Switch 2の脆弱性研究やHomebrewの開発状況について、研究者やユーザーによる投稿を確認できます。Nintendo Switch 2フォーラム
Atmosphère公式GitHub
Atmosphèreの開発状況や正式リリースを確認できます。Switch 2への対応が正式に発表された場合は、開発元の情報を確認することが重要です。Atmosphèreの公式リリース一覧
Hekate公式GitHub
Hekateの更新履歴や対応ハードウェアを確認できます。Hekateの公式リリース一覧
Gezine氏のX
Switch 2のユーザーランドexploitやゲーム実行メモリの取得について、研究成果を発表している開発者のアカウントです。Gezine氏のX
大人のためのゲーム講座
海外のゲーム機ハッキング情報を、日本語で確認できるサイトです。Switch 2 Hackの記事一覧
なお、海外コミュニティには未検証の情報や推測も投稿されています。「Switch 2のCFW完成」「改造チップ発売」といった情報を見かけた場合は、公式リポジトリや開発者の発表、実機での動作検証などを確認するようにしましょう。
2026年9月24日時点では、Nintendo Switch 2に導入できる一般向けのCFWは公開されていません。
AtmosphèreやHekateのSwitch 2対応版も未公開であり、初代Switchと同じようにCFWやemuMMCを利用することはできない状況です。
一方、2026年7月には新しいユーザーランドexploit、9月にはゲームの実行ファイルをメモリから取得する手法が報告されるなど、研究面では新たな動きが確認されています。
これらの成果が、今後の脆弱性研究やCFW開発につながる可能性はありますが、実際に一般ユーザーが利用できるようになる時期は不明です。
今後、カーネル権限の取得やCFWの起動方法に関する新たな研究成果が公開されるのか、引き続き注目していきたいと思います。